
B900F
エピソード3
「ところで、グランディオの王って何て名前なんだ?」
阿修羅はなんとなく思いついて聞いた。
「知らん。おぬしこそ知らんのか?」
「知らない。知らなくたって生きていけたから」
グランディオは階層で区分けされている。そのエリアの責任者さえ知っていれば事足りた。
「ならば、ますます俺は知らんぞ。ここへやってきたのは、そやつが死んだ後だからな。巨大な蟻塚の主が死んだというから、見物をしにきただけだ」
「け、見物だったのか?」
「こいつはよォ、暇で暇でどーしようもねぇのよ」
BLOODが大声で笑う。
「こんなナリはしてるが、これでもこいつァ……」
「それぐらいにしておけ。燃やすぞ」
「へいへい。俺様がいるから退屈しねぇってのに、ありがたみをしらねぇなあ」
「そんなもの、露とも思ったことがないわ」
(何だか、仲がいいのか悪いのかわからない二人だな。いや、一人と一枚、か?)
阿修羅は変なところで頭を悩ませる。
「まあ、グランディオの王の名など、知らんでもよいではないか。知ったところで何の役にも立たん」
雷電が妙に清清しい声で云ったものだから、阿修羅は思わず吹き出してしまった。
「言い切ったな。あはは、そのとおりだけどさ」
「ようやく笑ったな。おぬしは笑えんのかと思っておったぞ」
優しげに言われて、阿修羅は思わず赤くなる。
「笑うどころじゃなかったからな。それは、今も昔もだけど」
「ならば、これから笑うとよい。笑う角には福来るというではないか」
「いいこと云うねぇ、旦那!」
一人と一枚は爽快な笑い声をたてた。
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