自作小説『阿修羅王』
あらすじ 阿修羅王はグランディオから脱出するため上層階を目指す。
エピソード6
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エピソード6

「ぜぇぜぇ………」
阿修羅は乱れる息を整える。手にしたナイフからはどす黒い血が滴り落ちた。
――阿修羅が雷電に助けられてから何日がたっただろう。
ここは住人であった阿修羅の思っていた以上に危険な状態にあった。
というのも、グランディオは城そのものが巨大な都市だ。むろん、食糧となる動物もここで飼育されている。
しかし、今や彼らの世話をする者がいなくなっている。空腹に耐えかねた動物たちは檻を壊し、餌を求めて城内を徘徊していたのだ。
今、阿修羅が息を切らしているのも、そのうちの一頭をしとめたためだ。
「まだまだだな。阿修羅王。家畜一匹殺すのにそんなへっぴり腰では王になどなれんぞ」
「仕方ないだろう! 襲ってくる敵を俺ひとりで倒してるんだ。ぼーっとみてないで、少しは手伝ってくれよ!」
阿修羅が怒鳴ると、雷電は悪びれたようすもなく、むしろ不服そうに答えた。
「王となろうという者が泣き言か? 俺がおぬしを手伝ってしまったら、おぬしは俺を頼るだろう。俺は強いからな。だが、それでは意味がない」
「意味がないって……、なんだよ、何がいいたいんだよ」
「修行が足りんな。王となる者がこれしきの試練を乗り越えんでどうするといいたいのだ。おぬしの力、意志の力を俺に見せてみろ」
「……意志?」
阿修羅はナイフに目をやる。
「そうだ。王に必要なのは確固たる意志。それなくしては、誰もついてこん」
実に正論だ。正論だったが、格好よすぎてまるめこまれている感じがする。
阿修羅はむうっと唸ってから顔をあげた。
「……わかったよ! 雷電の力を借りなくても、自分で何とかしてみせればいいんだろっ」
なかば投げやり気味にそう答える。
「うむ。それでよい。……まあ、しかし」
雷電は指で顎をさする。
「確かにおぬしのそのやせっぽちの身体ではなかなかきついだろう。どうしても逃げたい敵がでてきたのなら、俺が力を貸そう。助けた手前、そのくらいはしてやらんとな」
「いいよっ! 俺一人でできるからっ!」
ふくれっ面で顔を背けた阿修羅を見て、雷電は首をかしげる。
「? 何を拗ねておるのだ。王たる者、人の助力を受けるときは受けるものだぞ」
「うっ……な、なんだよっ! さっきと云ってることが違うじゃないか! わけがわからない!」
「? そういうわけではないのだがな」
「ぎゃっはっは! バカなんだろー!? 俺様は楽しけりゃどっちでもいいぜ!」
暇そうにしていたBLOODが待ってましたとばかりに声をあげた。